四字熟語

一朝一夕(いっちょういっせき)

一日か一晩ほどの、ごく短い期間。多くは「一朝一夕にはできない」のように打ち消しを伴い、物事が短期間では成し遂げられないことを表す。

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由来

日本国語大辞典は〔易経‐坤卦〕を示す。維基文庫で確かめた『周易』坤卦・文言伝には「臣弒其君、子弒其父、非一朝一夕之故、其所由來者漸矣、由辨之不早辨也」とある。臣が君を、子が父を殺すといった大事件は、一朝一夕のわけがあって起きるのではなく、そこへ至る原因が少しずつ積み重なってきたのだ、早く見分けなかったからだ、という意味である。直前の「積善の家には必ず余慶あり」に続く一節で、小さな兆しを見逃すなという戒めの文脈にある。同じ坤卦の初六「履霜、堅冰至」(霜を踏めば、やがて堅い氷の季節が来る)と響き合う、漸進を説く一節である。日本では『太平記』に「啻禍、一朝一夕の故に匪ず」と同じ形で引かれており、古くから知られていた。四字熟語を知る辞典は、「一朝」が一日、「一夕」が一夜の意味だと解説し、多く打消を伴って事柄が簡単ではない意味に用いると注記している。つまり原典の戒めは、物事が積み重ねによって起きるという捉え方を含んでいる。

例文

  1. 新年の目標発表で、「語学は一朝一夕には身につかないので、毎朝二十分の音読を一年続けます」と述べた。
  2. 面接で「信頼は一朝一夕に築けるものではないと考え、小さな約束を守ることを大切にしています」と答えた。
  3. 老舗の味は一朝一夕に真似できるものではない。
  4. 部の伝統は一朝一夕には作れないと、引退する主将は後輩に伝えた。
  5. この大会で勝つために、一朝一夕の対策ではなく、三年がかりの体づくりを選んだ。

類義語・対義語

本来の戒めは、悪い事態も長い積み重ねの結果だという点にあったが、現代では「大きなことは短期間でできない」という努力の文脈で使うのが主流である。「石の上にも三年」が耐える年数を示すのに対し、この語は短い時間では足りないと否定する側から語る。時間の短さそのものを言う「電光石火」は、同じく短時間でも速さを称える語で、向きが違う。デジタル大辞泉は電光石火を一朝一夕の類語欄にも載せるが、後者は短さを称える語ではなく、短さでは済まないと示す語として使われる点が異なる。

こんなシーンで使う

人前では「一朝一夕にはいかない」と、時間をかけて取り組む覚悟を語る形で使うと、聞き手に地に足のついた姿勢として届く。面接官に対しては、短期の成果を誇るより「積み重ねの見通しを持っている人」に見える。ただし打ち消しとセットで使う語なので、「一朝一夕で達成した」と肯定形にすると本来の用法から外れ、違和感を持たれやすい。

以下のテーマ・シーンでよく使われます。

よくある質問

一朝一夕の由来は?
日本国語大辞典は〔易経‐坤卦〕を示す。維基文庫で確かめた『周易』坤卦・文言伝には「臣弒其君、子弒其父、非一朝一夕之故、其所由來者漸矣、由辨之不早辨也」とある。
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