智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。(ちにはたらけばかどがたつ。じょうにさおさせばながされる。いじをとおせばきゅうくつだ。)
理屈で押し通せば人と衝突し、情に乗れば流され、意地を通せば窮屈になる——どう構えても人の世は住みにくい、という認識を三つ並べた一節。夏目漱石の小説『草枕』の冒頭として知られる。
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そのまま使える例文
就任の挨拶で「智に働けば角が立つ、情に棹させば流される。漱石が『草枕』の冒頭に置いた三つは、そのまま調整役の悩みだと思っています」と切り出した。
深掘りに備える — 由来
夏目漱石『草枕』の冒頭。1906年(明治39年)9月に雑誌『新小説』へ発表され、翌1907年1月に作品集『鶉籠』(春陽堂)に収められた。
聞かれたら: 「夏目漱石『草枕』冒頭に由来する言葉です」と出典を一言添えられると強い。
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夏目漱石『草枕』の冒頭。1906年(明治39年)9月に雑誌『新小説』へ発表され、翌1907年1月に作品集『鶉籠』(春陽堂)に収められた。「山路を登りながら、こう考えた。」に続けてこの三句が置かれ、「とかくに人の世は住みにくい。」で受ける形になっている。語り手は山道を登る画工で、旅先へ向かう道すがらの思案という設定である。「棹させば」の「棹さす」は舟を竿で押して流れに乗せることを指す語で、漱石もその意味で使っている。なお慣用句「流れに棹さす」については、本来と逆の「流れに逆らう」の意味で理解している人が6割を超えるという文化庁「国語に関する世論調査」(平成18年度)の結果があり、意味を言い添えるときは注意したい。『草枕』は漱石の言う「非人情」——利害や情実を離れた眼で世界を眺める境地——を描いた作品で、この三句は、その境地に至る手前で住みにくさを三つの角度から並べたものにあたる。嘆きの言葉として引かれることが多いが、原文はこの直後に、住みにくさが高じて引っ越したところでどこも住みにくいと悟ったとき、そこに詩が生まれ画が生まれる、と続く。住みにくさそのものを芸術の出発点に据える文脈の中にある一節である。
似た語と間違えない
類義に挙げた「中庸」が過不足のないちょうどよさという目指す状態を示すのに対し、この一節はそのちょうどよさが取りにくいという困難のほうを言葉にしている。「和光同塵」が才を隠して周囲になじむという処世の方法を示すのに対し、こちらは方法を示さず、三つの道がいずれも行き詰まるという認識だけを述べる点が違う。
対義語: 唯我独尊、独断専行
こんなシーンで使う
就任・送別など、人と人の間に立つ立場について語るスピーチで、悩みを共有する切り口として引ける。聴衆には「調整の難しさを分かっている人」と映りやすい。ただし三句を通して並べると長く、聞き手が意味を追い切れないまま「住みにくい」という嘆きだけが残る。一句だけを引き、原文が住みにくさの先に詩や画が生まれると続くことを一言添えると、諦めではなく構えとして届く。座右の銘として単独で掲げるには否定形が強いため、掲げるより引用として使うほうが場に収まる。
以下のテーマ・シーンでよく使われます。
よくある質問
- 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。の類義語は?
- 中庸、和光同塵、君子は和して同ぜず
- 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。はどんな場面で使いますか?
- スピーチで使うとき
- 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。の由来は?
- 夏目漱石『草枕』の冒頭。1906年(明治39年)9月に雑誌『新小説』へ発表され、翌1907年1月に作品集『鶉籠』(春陽堂)に収められた。