韜晦(とうかい)
自分の才能や地位、本心をあえて表に出さず、包み隠すこと。身を隠して姿をくらます意でも使う。
最終更新日:
そのまま使える例文
送別の挨拶で「彼は自分の手柄を韜晦する人で、成果の説明はいつも他の名前から始まりました」と述べた。
深掘りに備える — 由来
精選版日本国語大辞典は「韜晦」の項の出典に〔旧唐書‐宣宗紀〕を挙げる。唐の宣宗(李忱)は即位前、文宗・武宗の治世にあたる太和・会昌の年間を通じて、能力を隠して身を守っていた。
聞かれたら: 「『旧唐書』宣宗紀「歴太和会昌朝、愈事韜晦、群居游…に由来する言葉です」と出典を一言添えられると強い。
由来の全文を読む
精選版日本国語大辞典は「韜晦」の項の出典に〔旧唐書‐宣宗紀〕を挙げる。唐の宣宗(李忱)は即位前、文宗・武宗の治世にあたる太和・会昌の年間を通じて、能力を隠して身を守っていた。同紀に「太和・会昌の朝を歴て、愈(いよいよ)韜晦を事とし、群居游処、未だ嘗て言有らず」——年を追うごとに韜晦に努め、人の集まる場に居ても、ついぞ口を開かなかった——とある。皇位をめぐる争いの渦中で、目立てば命が危うい状況での処世として使われた語である。字の側では、「韜」は説文解字に「劍衣なり」(剣を納める袋)とあり、『広雅』釈器では弓袋の意で、そこから「つつむ・おさめる」に転じた。「晦」は月の隠れる日、転じて暗いこと。包んで見えなくする、という二字の組み合わせがそのまま語義になっている。日本語の文献では、同辞典が坪内逍遙『内地雑居未来之夢』(一八八六年)の「毫も其気質の如何を知らせず、いとよく韜晦して喜憂を示さず」を用例に挙げる。中国語では同じ系統の「韜光養晦」が今も生きた成語として使われている。
似た語と間違えない
「謙遜」が自分を低く言う言い方の問題であるのに対し、「韜晦」は事実そのものを表に出さないことを指す。「和光同塵」が才知の輝きを和らげて世間に交わるという老荘的な処世そのものを言うのに対し、韜晦は隠す行為に焦点があり、旧唐書の用例が示すとおり身を守る目的を含みやすい。「秘匿」が情報を隠す事務的な語であるのに対し、韜晦は隠す本人の意図や態度まで含む。
対義語: 顕示、自己顕示
こんなシーンで使う
人を評する語で、聞き手には「実力があるのに前へ出ない人」という像が届く。ただし同時に「本心が読めない」という含みも届き、隠す対象が不利な事実であれば、ごまかしの側の意味に傾く。面接やESで自分に使うと、面接官には語らない人という印象が残るため、尊敬する人を評する形か、韜晦をやめた経緯として語る形にしたい。「韜晦する」「自己韜晦」と動詞的に使う語で、読みも字も見慣れないため、口頭では言い換えを一つ用意しておきたい。
以下のテーマ・シーンでよく使われます。
よくある質問
- 韜晦の類義語は?
- 和光同塵、秘匿、韜光養晦
- 韜晦の由来は?
- 精選版日本国語大辞典は「韜晦」の項の出典に〔旧唐書‐宣宗紀〕を挙げる。唐の宣宗(李忱)は即位前、文宗・武宗の治世にあたる太和・会昌の年間を通じて、能力を隠して身を守っていた。