鵬程万里(ほうていばんり)
想像上の大鳥・鵬が万里の彼方まで飛んでいくように、この先に広がる遠大で希望に満ちた前途。もとは、鵬の飛ぶ道のりのように、はるかに遠い道のりそのものを指す。
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そのまま使える例文
卒業式の式辞で、校長は「鵬程万里、それぞれの道で大きく羽ばたいてください」と卒業生を送り出した。
深掘りに備える — 由来
出典は『荘子』逍遥遊。ただし「鵬程万里」の四字がそのまま原典に並んでいるわけではなく、そこに描かれた鵬の飛行から後に作られた成語である。
聞かれたら: 「『荘子』逍遥遊「鵬之徙於南冥也、水撃三千里、摶扶…に由来する言葉です」と出典を一言添えられると強い。
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出典は『荘子』逍遥遊。ただし「鵬程万里」の四字がそのまま原典に並んでいるわけではなく、そこに描かれた鵬の飛行から後に作られた成語である。逍遥遊の冒頭では、北の果ての海にすむ鯤という大魚が鵬という鳥に姿を変える。背は幾千里あるかわからず、飛び立てば翼は天に垂れこめる雲のようだという。南の海へ移るくだりが「鵬之徙於南冥也、水撃三千里、摶扶揺而上者九万里、去以六月息者也」で、水面を三千里叩き、つむじ風に乗って九万里の高さまで上り、六か月吹く風に乗って去っていく。原文にあるのは「九万里」であり、「万里」も「鵬程」も語としては出てこない。鵬の飛ぶ道のりを言う「鵬程」が、はるかに遠い道のりの意味で使われるようになったもので、「程」は道のり、「万里」は非常に遠いことのたとえである。日本語では精選版日本国語大辞典が「鵬程」の用例として、室町初期の禅僧・絶海中津の詩集『蕉堅藁』(1403年)の「鵬程九万看騰騫」と、坪内逍遥『内地雑居未来之夢』(1886年)の「一葦の蒸気船に身を託して、万里の鵬程を渡らんには」を挙げる(後者はデジタル大辞泉も引く)。つまり日本では「鵬程九万」「万里の鵬程」の形が先にあり、デジタル大辞泉・精選版日本国語大辞典が見出しに立てるのも「鵬程」までで、四字の形は四字熟語辞典の側に載る。中国語では宋以降の用例があり(『成語典』は宋の楼鑰、明の楊珽『龍膏記』などを書証に挙げる)、台湾の『重編国語辞典修訂本』は「万里鵬程」「万里鵬翼」の言い方も併記して、現代では別れ際の祝いの言葉としてよく使われると注記する。
似た語と間違えない
辞典が類義語として一致して挙げるのは「前程万里」で、四字熟語辞典と台湾教育部『成語典』がともに並べる。意味はほぼ重なるが、「前程万里」は行く先の道のりの長さだけを言い、「鵬程万里」は鵬という大鳥の像が乗るぶん、スケールの大きさと祝意が強い。一部の四字熟語辞典は「前途洋々」も類義に挙げる。こちらは行く先が広々と明るく開けていることに重心があるのに対し、「鵬程万里」は道のりの遠さと志の大きさに重心があり、遠くへの旅立ちや大きな事業の門出に向く。対義語を挙げる国語辞典は見当たらず、『成語典』が反義に置くのは「窮途末路」「日暮途窮」など行き詰まりを言う語で、「前途多難」を対義とする辞典は確認できなかった。「前途多難」は困難が多いという予想であって、同じ旅立ちを別の角度から見た語と考えたほうがよい。読みは「ほうていばんり」だが、精選版日本国語大辞典は「鵬程」に「ぼうてい」の読みも載せ、坪内逍遥の用例にも「ボウテイ」とふりがなが付く。
こんなシーンで使う
卒業式の式辞や海外赴任・留学の送別会で、遠くへ旅立つ人や大きな志を抱く人を送り出す言葉として格調高く収まる。台湾の辞典が「卒業式で校長が卒業生に鵬程万里を祝う」という例文を載せるとおり、送る側の言葉として定着している語で、聞き手には、送り出す側が相手の未来を大きなスケールで信じているという思いが伝わる。一方で、耳で聞いただけでは字も意味も浮かびにくい難しい語なので、「大鳥の鵬が万里を飛ぶように」と一言添えないと聞き流されやすい。面接などで自分の将来を「鵬程万里」と言うと大げさに聞こえるため、基本は他人の門出に向けて使う。
以下のテーマ・シーンでよく使われます。
よくある質問
- 鵬程万里の類義語は?
- 前程万里
- 鵬程万里の由来は?
- 出典は『荘子』逍遥遊。ただし「鵬程万里」の四字がそのまま原典に並んでいるわけではなく、そこに描かれた鵬の飛行から後に作られた成語である。