四字熟語
多情多恨(たじょうたこん)
感受性が強く、恋心や恨み、悲しみといった感情の起伏が激しいこと。
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由来
この語の出典は特定されていない。中国古典に典拠を示す記述は確認できず、故事に基づく語ではない。日本では明治期の文章にすでに現れており、正岡子規『筆まかせ』(1884〜92年)に「天下多情多恨の才子は皆公然と筆を揮ふて小説堺に雄飛することとなりぬ」の用例がある。広く知られるようになったのは、尾崎紅葉が明治29(1896)年に『読売新聞』へ連載した小説『多情多恨』によるところが大きい。妻を亡くして立ち直れない主人公の心理を言文一致体で描いた作品で、題名がそのままこの語のイメージを決めた面がある。ただし子規の用例が連載に先行することからも、紅葉がこの語を作ったわけではない。字義としては、「多情」が物事に感じやすいこと・情の深いことを、「多恨」が恨みや悔いの多いことを指し、二つの二字熟語を重ねた形である。「多恨多情」と入れ替えた形でも使われる。
例文
- 文芸講座で「多情多恨という言い方は、明治の文学が広めたものです」と紹介された。
- 送別会の挨拶で「多情多恨な性分なので、しばらくは引きずると思います」と笑って述べた。
- 若いころは多情多恨で、些細なことにいちいち心を乱していた。
- 多情多恨な人物として描かれる主人公が、物語の後半で少しずつ落ち着いていく。
類義語・対義語
「多感多恨」がほぼ同義で使われるのに対し、「多情多恨」の「多情」には情が深いという意味と、気持ちが移りやすいという意味の両方があり、後者に読まれると軽薄さの含みが出る。「感情豊か」が肯定一色の評価であるのに対し、この語は恨みや悔いを抱え込む側面まで一語に入っている。
こんなシーンで使う
感情の起伏が激しいことを、非難ではなく人柄の説明として言える語。自分について使えば聞き手には正直な自己申告として届くが、他人に向けて使うと「気が多い」「根に持つ」という評価にも読めるため、当人の前では角が立つ。恋愛の文脈だけの語と誤解されやすいが、恨みや悔いの多さまで含む点は押さえておきたい。座右の銘に掲げると、感情に振り回される人という印象が先に立つ。
以下のテーマ・シーンでよく使われます。
よくある質問
- 多情多恨の類義語は?
- 多感多恨、多恨多情
- 多情多恨の由来は?
- この語の出典は特定されていない。中国古典に典拠を示す記述は確認できず、故事に基づく語ではない。