傾国傾城(けいこくけいせい)
国や城を傾けてしまうほどの、絶世の美女のたとえ。
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そのまま使える例文
展示の解説で、案内役が「この肖像の主は、当時傾国傾城とうたわれた女性です」と紹介した。
深掘りに備える — 由来
『漢書』外戚伝の孝武李夫人の条に載る、李延年の歌に由来する。前漢の武帝に仕えた宮廷楽人の李延年が、武帝の前で舞いながら「北方に佳人有り、絶世にして独立す。
聞かれたら: 「『漢書』外戚伝・孝武李夫人「北方有佳人、絶世而独…に由来する言葉です」と出典を一言添えられると強い。
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『漢書』外戚伝の孝武李夫人の条に載る、李延年の歌に由来する。前漢の武帝に仕えた宮廷楽人の李延年が、武帝の前で舞いながら「北方に佳人有り、絶世にして独立す。一顧すれば人の城を傾け、再顧すれば人の国を傾く。寧んぞ傾城と傾国とを知らざらんや、佳人は再びは得難し」(北方有佳人、絶世而独立。一顧傾人城、再顧傾人国。寧不知傾城与傾国、佳人難再得)と歌った。武帝が「世にそのような人がいるのか」と嘆息すると、平陽公主が延年には妹がいると告げ、召し出された妹が寵愛を受けて李夫人になった、と伝は続ける。つまりこの語は、はじめから美貌そのものを称える言葉としてあったのではなく、「城も国も失うと分かっていてなお惹かれてしまう」という危うさとひと続きで生まれている。もっとも伝によれば李夫人自身は若くして亡くなり、武帝はその姿を甘泉宮に描かせて偲んだとあり、実際に国を傾けた女性ではない。「傾城」の二字はさらに古く、『詩経』大雅・瞻卬の「哲夫は城を成し、哲婦は城を傾く」にさかのぼる(普及版字通・台湾教育部『成語典』)。日本語では、精選版日本国語大辞典が「傾国」を「国家の存立をあやうくすること」の意で988年の文書に、美女の意で『太平記』の「傾城傾国の乱」に見いだし、「傾城」には『平家物語』『宇治拾遺物語』の例を挙げる。日本では平安期から江戸期にかけて「傾城」「傾国」が遊女の別称に転じ(改訂新版世界大百科事典・日本大百科全書)、明治以後はその用法がほとんど使われなくなった。なお日本の国語辞典(デジタル大辞泉・精選版日本国語大辞典)が立項するのは「傾国」「傾城」の二字で、四字の「傾国傾城」「傾城傾国」はコトバンクの中日辞典や台湾教育部の『重編国語辞典修訂本』『成語典』が成語として収め、語順を入れ替えた両形を同義としている。
似た語と間違えない
台湾教育部の成語典は近義に「沈魚落雁」「閉月羞花」「国色天香」などを、対義に「無塩之貌」を挙げるが、日本の国語辞典は「傾国」「傾城」を互いの言い換えとして示すだけで、類義語・対義語を立てない。「沈魚落雁」「閉月羞花」が、魚が沈み雁が落ちるほど・月や花が恥じ入るほど美しいという、美しさそのものの誇張に徹しているのに対し、「傾国傾城」は美しさが引き起こす結果——城や国が傾く——に重心がある。同じ絶世の美女を指しても、政治的な破滅の含みを持つのは後者だけ。「傾城傾国」は語順が違うだけで意味は変わらず、日本の古い用例(『太平記』)はこちらの順である。二字の「傾城」「傾国」も単独で同じ意味を持つが、辞典はどちらにも遊女・遊里の意を併記しており、四字のほうがその含みは薄い。
こんなシーンで使う
聞き手にはまず「国を傾けるほど美しい」という最大級の賛辞として届くが、出典では美女に溺れて国を失うという結末までが同じ歌の中に入っている。実在の相手に面と向かって使うと、褒めたつもりが「災いを招く存在」と評したことになりかねない。日本では「傾城」「傾国」が長く遊女の別称だった経緯もあり、古典に親しんだ聞き手にはその含みで届くことがある。歴史や物語の人物を紹介する場面、あるいは語の由来そのものを話題にする場面に向く。人物評として公の場で口にするのは避けたい語で、座右の銘としても成立しない。
以下のテーマ・シーンでよく使われます。
よくある質問
- 傾国傾城の類義語は?
- 傾城傾国、傾城、傾国
- 傾国傾城の由来は?
- 『漢書』外戚伝の孝武李夫人の条に載る、李延年の歌に由来する。前漢の武帝に仕えた宮廷楽人の李延年が、武帝の前で舞いながら「北方に佳人有り、絶世にして独立す。