四字熟語
勧善懲悪(かんぜんちょうあく)
善い行いを勧め励まし、悪い行いを戒め懲らすこと。とくに物語で、善玉が最後に栄え、悪玉が滅びる筋立てをいう。
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由来
『春秋左氏伝』成公十四年に「君子曰く、春秋の稱は、微にして顯、志して晦、婉にして章を成し、盡して汙ならず、懲惡而勸善、聖人に非ざれば誰か能く之を修めん」とある。孔子が編んだとされる『春秋』の書き方の特徴を五つ挙げた中の一つで、悪を懲らして善を勧める、という意味である。ニッポニカ、台湾教育部の辞典、四字熟語辞典オンラインがこの一節を出典とし、教育部の辞典は『潛夫論』や『漢書』張敞伝の「勸善懲惡」の用例も挙げる。左伝では「懲悪」が先で、四字熟語辞典オンラインは「懲悪勧善」の形も載せる。日本国語大辞典の初出例は『応永本論語抄』(1420年)の「左伝は勧善懲悪を以て本とす」で、史書の編纂方針を言う語として入ったことが分かる。物語の型としては、ニッポニカによれば、江戸後半に儒教(朱子学)の文学観と仏教の因果応報思想が結びついて小説や演劇の創作態度になり、四字熟語を知る辞典は曲亭馬琴の『南総里見八犬伝』などを代表に挙げる。明治に坪内逍遙が『小説神髄』でこれを批判し、人情の写実を重んじる方向へ向かった。
例文
- ゼミの発表で、馬琴の読本は勧善懲悪の枠組みの中で民衆の期待に応えた作品だと述べた。
- 朝礼で社長が「ルールを守った人が報われ、破った人が責任を取る、勧善懲悪の職場にしたい」と話した。
- この時代劇は勧善懲悪の型を守っていて、最後に悪代官が裁かれる安心感がある。
- 現実は勧善懲悪みたいにはいかないよね、悪い人ほど要領がいいこともあるし。
類義語・対義語
「因果応報」は行いが原因となって善悪の結果が返るという理法そのものを言い、勧善懲悪は、善を勧め悪を懲らしめる側の意図や筋立てを言う。「自業自得」は報いを受ける本人に焦点があり、悪い結果に偏る。勧善懲悪は賞と罰の両方を含み、悪が罰されるだけでなく善が報われる側も欠かせない。辞典が同義に挙げる「勧懲」は日本国語大辞典などに見える短縮形で、文学論や史書の文脈で使われる。
こんなシーンで使う
物語や作品の型を説明する場面では、筋の分かりやすさと結末の安心感を一語で伝えられる。人物評や社会評に使うと、聞き手には善悪を単純に二分する見方と受け取られ、素朴、あるいは古いと感じる人もいる。面接で好きな作品の話に出すなら、「善悪を単純化していないか」と掘られる前に、自分はどう読んだかを添えておくとよい。他人を裁く響きがあるので、座右の銘として自分に掲げるには向かない。
よくある質問
- 勧善懲悪の類義語は?
- 勧懲、懲悪勧善
- 勧善懲悪の由来は?
- 『春秋左氏伝』成公十四年に「君子曰く、春秋の稱は、微にして顯、志して晦、婉にして章を成し、盡して汙ならず、懲惡而勸善、聖人に非ざれば誰か能く之を修めん」とある。孔子が編んだとされる『春秋』の書き方の特徴を五つ挙げた中の一つで、悪を懲らして善を勧める、という意味である。