四字熟語
一進一退(いっしんいったい)
前へ進んだり後ろへ退いたりすること。また、病状や情勢がよくなったり悪くなったりして、はっきりした方向に定まらないこと。
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由来
典拠は辞典によって分かれる。精選版日本国語大辞典は『荀子』脩身を挙げ、四字熟語辞典オンラインは『管子』覇言を出典とする。維基文庫の原文で両方を確かめた。『荀子』修身篇には「蹞步而不休、跛鼈千里。累土而不輟、丘山崇成。(中略)一進一退、一左一右、六驥不致」とあり、足の悪いすっぽんでも歩みを止めなければ千里を行くが、進んだり退いたり左右にぶれたりしていては、六頭の名馬でも目的地に着けない、という努力の説き方である。『管子』覇言には「令兵一進一退者、權也」とあり、軍勢を進退させるのは「権」だという戦略論の一節で、四庫全書本の注は「権が重ければ進み、軽ければ退く」と読む。どちらも字面の一致で、現在の意味に直接つながる典拠かは辞典が述べていない。日本語の例として、日国は坪内逍遙『当世書生気質』(1885〜86年)や徳富蘇峰『将来之日本』(1886年)を挙げる。
例文
- 研究室の話を面接で聞かれ、「実験は一進一退でしたが、失敗の原因を毎回記録して次の条件に反映しました」と答えた。
- 年頭の挨拶で、「昨年の売上は一進一退でした。今年は月次で数字を見直す仕組みを整えます」とチームに伝えた。
- 父の病状は一進一退で、見舞いのたびに医師の説明を聞き直している。
- 両チームの攻防は一進一退のまま延長戦に入った。
類義語・対義語
デジタル大辞泉の類語欄には「互角」「拮抗」「伯仲」などが並ぶが、これらは二者の力の釣り合いを言う語で、一進一退は同じ対象が前に出たり後ろに下がったりする動きを言う。Weblio類語辞典には「足踏み」「停滞」が並ぶが、足踏みは前進のなさを指し、一進一退は後退も含む。『荀子』の文脈では進退のぶれが目的地に届かない原因とされるが、現在は中立の状況描写として使われる。「七転八起」が倒れても起きる意志を言うのに対し、この語は意志ではなく結果のゆらぎを淡々と述べる。対義語として辞典が明示する語は確認できなかった。
こんなシーンで使う
進捗や成績を報告する場面で「一進一退です」とだけ言うと、聞き手の上司や面接官には、停滞なのか成果の途中なのかが読み取れず、状況を把握していない印象になることがある。期間・数字・次の一手を添えて行きつ戻りつの中身を示すと、現状を冷静に見ている話として届く。病状に使う場合は家族や周囲にとって深刻にも安心にも聞こえる曖昧な語なので、医師の説明を引くなど具体を足したい。励ましとして掲げる座右の銘には向かず、経験を振り返る語りに向く。
よくある質問
- 一進一退の由来は?
- 典拠は辞典によって分かれる。精選版日本国語大辞典は『荀子』脩身を挙げ、四字熟語辞典オンラインは『管子』覇言を出典とする。