四字熟語

一喜一憂(いっきいちゆう)

状況が変わるたびに、喜んだり心配したりして気持ちが落ち着かないこと。「憂」は悲しみではなく、先行きを案じる心配のこと。

最終更新日:

由来

精選版日本国語大辞典は「その他の文献」として『道徳指帰論』を挙げるが、デジタル大辞泉・四字熟語を知る辞典・四字熟語辞典オンラインは出典を示していない。そこで維基文庫の『道徳指帰論』巻二(四庫全書本、漢・厳遵の撰とされる)を確かめると、「名身孰親」の篇に「失之而憂、得之而喜、一喜一憂、魂魄浮遊、一憂一喜、神明去矣、身死名滅、禍及子孫」とある。名声や財貨を得ては喜び、失っては憂える者は心が定まらず、身も名も滅ぶ、という戒めの文脈で、励ましの言葉ではない。ただし辞典は、これを日本語の四字熟語の直接の出典とまでは述べていない。同じ「一喜一憂」の形は明代の白話小説(『喩世明言』『金瓶梅』など)にも見える。日本語の例として、日国は染崎延房『近世紀聞』(1875〜81年)を最初に挙げ、四字熟語を知る辞典は夏目漱石『思ひ出す事など』(1910〜11年)を引く。

例文

  1. ESの自己PRに「模試の点数に一喜一憂せず、毎週の復習の型を崩さなかったことが、最後の伸びにつながりました」と書いた。
  2. 決勝の前の円陣で、主将が「途中経過に一喜一憂するな。やることは普段の練習と同じだ」と声をかけた。
  3. 株価の動きに一喜一憂して仕事が手につかなくなり、確認する時刻を一日二回に決めた。
  4. 合否の連絡を待つ間、携帯が鳴るたびに一喜一憂していた。

類義語・対義語

「悲喜交交」は悲しみと喜びが入り混じる、あるいは代わる代わる訪れることを言い、感情の質に重心がある。一喜一憂は、状況が変わるたびに気持ちが上下する落ち着きのなさに重心があり、「憂」は悲しみよりも心配である。「一進一退」が状況の側の行きつ戻りつを言うのに対し、この語は人の気持ちの側の揺れを言うので、同じ出来事を描いても主語が違う。対義語として辞典が明示する語は確認できなかったが、態度の対極は「泰然自若」のように動じないことである。

こんなシーンで使う

「一喜一憂しない」「一喜一憂せず」と否定の形で語ると、面接官やチームメイトには、結果が揺れても手順を守れる人という落ち着きとして届く。反対に「私は何事にも一喜一憂しやすい性格です」と肯定形で自分に使うと、聞き手には振り回されやすいという自己申告に聞こえるため、短所として話すなら、揺れたあとにどう立て直したかまで添えたい。他人に「彼は一喜一憂している」と使うのは冷ややかな観察に聞こえやすく、本人の前では避けたほうがよい。

よくある質問

一喜一憂の由来は?
精選版日本国語大辞典は「その他の文献」として『道徳指帰論』を挙げるが、デジタル大辞泉・四字熟語を知る辞典・四字熟語辞典オンラインは出典を示していない。そこで維基文庫の『道徳指帰論』巻二(四庫全書本、漢・厳遵の撰とされる)を確かめると、「名身孰親」の篇に「失之而憂、得之而喜、一喜一憂、魂魄浮遊、一憂一喜、神明去矣、身死名…
PR
言葉の本で理解を深めるなら
楽天ブックスで「四字熟語」の本を探す
見てみる