四字熟語

一部始終(いちぶしじゅう)

物事の始めから終わりまで。成り行きの全体や、詳しい事情のすべて。

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由来

出典は特定されていない。漢籍の故事に基づく成語としては、辞典類は出典を示していない。デジタル大辞泉と日本国語大辞典によれば、もとは書物の始めから終わりまで全部を指す語で、「一部」は書物一揃い、「始終」は初めと終わりを表す。日本国語大辞典が挙げる最も古い用例は『私聚百因縁集』(1257年)で、「妙法蓮華経の一部始終」と、法華経全体を指して使われている。事の成り行きの意味では、高野山文書の天正19年(1591年)の書状に「拙僧之儀、一部始終」とある例が示されている。つまり、書物全体を指す語が、事の顛末を言う語へ広がったと整理できる。その意味では「一部」を「ごく一部」と読む現代の感覚とは正反対の成り立ちである。四字熟語を知る辞典も、もとは一部の書物の始めから終わりまでという意味だと記している。また同じ意味の「一伍一什」「一五一十」という表記もあり、日本国語大辞典は中国の白話小説風の書き方だと注記して、『南総里見八犬伝』の用例を示している。

例文

  1. 面接で「失敗の一部始終を整理し、原因と対策を報告書にまとめました」と語った。
  2. 保護者会の挨拶で、運営委員が当日の経緯の一部始終を丁寧に説明した。
  3. 事故の一部始終を目撃していた通行人が、警察に詳しく話した。
  4. 卒業スピーチでは、三年間の部活動の一部始終を語るのではなく、ひとつの場面に絞って話した。
  5. 電話口で、先輩はプロジェクトが止まった一部始終を落ち着いて語ってくれた。

類義語・対義語

「顛末」は物事の最初から最後までの流れをやや書き言葉的にまとめた語で、結末に重心がある。「いきさつ」は結果に至るまでの事情に寄る。一部始終は、始めから終わりまで漏れなく全部を語るという「完全さ」が核で、「語る」「話す」「見届ける」と結びつきやすい。部分的な説明には使えない点も押さえておきたい。「概要」や「あらまし」は大づかみの説明に使う語で、一部始終とは密度が違う。また、報告書や始末書など改まった文書でも使える一方、くだけた会話で連発すると大げさに聞こえる。

こんなシーンで使う

「一部始終を報告します」と言うと、聞き手には、省略せず順を追って説明するという誠実な構えが伝わる。謝罪や経緯説明の場で信頼を得やすい一方、全貌を語るという予告になるため、実際には要点しか話さないと話が違うと受け取られる。「一部」を「ごく一部分」と読み違える人もいるので、聞き手が誤読しそうなら「すべて」「最初から最後まで」と言い添えるとよい。

よくある質問

一部始終の類義語は?
顛末、経緯
一部始終の由来は?
出典は特定されていない。漢籍の故事に基づく成語としては、辞典類は出典を示していない。
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