四字熟語
五里霧中(ごりむちゅう)
方角が分からなくなるほど深い霧の中にいるように、物事の事情がつかめず、どうしてよいか迷うこと。判断のよりどころがなく、手探りで進むしかない状態をいう。
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由来
『後漢書』張楷伝の故事に基づく。同書は張楷について「性好道術、能作五里霧」、つまり道術を好み、五里四方に霧を起こせたと記す。同じころ関西の人・裴優は三里の霧しか起こせず、楷に学ぼうとしたが、楷は会おうとしなかった。のち桓帝の世になって裴優が霧に乗じて賊を働き、捕まって「楷に術を学んだ」と述べたため、楷も二年ほど獄に繋がれ、証拠がないとして帰されたという。原話の霧は人の目をくらます術であって、迷う側の心境を指していたわけではない。デジタル大辞泉と日本大百科全書は、この故事から、霧に巻かれて方向を失うことへ、さらに事情がつかめず進退に窮することへと意味が転じたとする。日本語の実例は、精選版日本国語大辞典が元禄13年(1700年)の俳諧の序文を挙げる。「五里霧」はもと道教の術で五里四方に霧をわかせるものだと、四字熟語を知る辞典は説明する。「五里夢中」と書くのは誤りで、夢ではなく霧である。
例文
- 志望動機を聞かれ、「就職活動を始めた当初は五里霧中でしたが、OB訪問を重ねて業界の輪郭が見えてきました」と答えた。
- 新規事業は立ち上げ直後で市場の反応がつかめず、チーム全員が五里霧中の状態だった。
- 原因不明の不具合に、調査を始めて三日は五里霧中だったが、ログの比較で糸口が見つかった。
- 広すぎる駅で出口の案内を見落とし、五里霧中のまま三十分歩き回った。
類義語・対義語
「暗中模索」は暗がりで手探りに探し続ける行動に重心があり、探している分だけ前向きな響きも持ちうる。五里霧中は進むべき方向が見えない状態そのものを述べ、立ち尽くす印象が前に出る。大辞泉が類語に挙げる「多岐亡羊」は選択肢が多すぎて迷うことで、情報が足りずに迷う五里霧中とは原因が逆になる。単に先が不安だと言うだけなら、「先行き不透明」のほうが報告文には馴染む。
こんなシーンで使う
面接で「五里霧中でした」と過去の迷いとして語るのは正直さとして届くが、現在形で言うと「今も見通しがない」と聞こえ、面接官は「何を頼りに動くのか」と続けて尋ねたくなる。使うなら、その霧がどう晴れたかを必ず後半に添える。会議で「状況は五里霧中です」と報告すれば判断材料が足りないことは一語で伝わるが、次の一手が続かないと丸投げに聞こえやすい。上司への報告なら、確認できた事実を一つ添えるだけで、手を止めていないことが伝わる。
よくある質問
- 五里霧中の由来は?
- 『後漢書』張楷伝の故事に基づく。同書は張楷について「性好道術、能作五里霧」、つまり道術を好み、五里四方に霧を起こせたと記す。